BD バクテック™ MGIT™ 320 システムの上市で世界の結核菌検出率を向上
検体量が比較的少ない検査室用の新しい小型システム
液体培養技術は、従来の結核菌検出法よりも迅速で正確に結果を提供する。
2010/07/29
※プレスリリースは発表時のものを掲示しております。発表後、内容に変更がある場合がありますのでご注意ください。
日本ベクトン・ディッキンソン株式会社 (略称「日本BD」、本社:東京都港区赤坂、代表取締役社長 フランク・フローリオ)では、本日、結核菌を迅速かつ正確に検出できる新しい小型のシステムBD バクテック™ MGIT™ 320 全自動抗酸菌培養検査装置の上市を発表しました。
BD バクテック™ MGIT™ 320 システム(以下 MGIT™ 320)は、検体量があまり多くない検査室向けの装置で、検査業界でリーダー的な装置であるBD バクテック™ MGIT™ 960 システム(以下 MGIT™ 960) のサイズと比べるとその半分のサイズです。MGIT™ 960 は、抗酸菌マイコバクテリアの液体培養システムと抗菌薬感受性検査に用いられている完全自動のシステムです。MGIT™ 320 は、小型の装置で320本のチューブを収容でき年間では約2700検体を処理する能力があります。この装置は設置方法がフレキシブルで、ベンチトップまたはスタンド搭載のようにして検査室のスペースを有効活用できます。
MGIT™ 320 の市場導入により、液体培養技術が世界的に普及しやすくなり、結核による死亡率や感染率が高い地域における死亡率や感染率の減少への取り組みに役立ちます。大型のモデルと同様、従来の培地検査や喀痰塗沫検査に比べて、この新システムは抗酸菌の培養検出時間を著しく短縮し患者管理を向上させます。
BD ダイアグノスティックス - ダイアグノスティックシステム事業部のプレジデントであるフィリップ・ジェイコン は、「MGIT™ 320 による適切な抗酸菌の検出を実現することで、BDは世界の結核との闘いにおいて、リーダーシップをとり続けます。迅速で安全、効率的な検査は、結核菌の診断に不可欠です。この装置はMGIT™ 960と品質的にも特長の上でも同じ性能を有します。すなわち、液体培養技術を使用した迅速で、精度の高い装置です。異なる点といえば、小型化した装置であり、この装置に適した検体量を扱う検査室は注目するでしょう」と語っています。
MGIT™ 320 による培養検査は簡便で、作業時間は短く、また、プラスチック製のスクリューキャップを使用するため、安全で簡便に培地を取り扱えます。操作は、シンプルな4段階の工程となっています。装置には、他にも安全対策として、注射針による検体の添加や他のチューブへの継代培養を不要としているため、チューブへの検体添加時や陽性培養検体の作業中に針刺し損傷リスクを排除できます。
MGIT™ 320 には、独自開発の培地やセンサーが採用され、先端の蛍光分析技術を効率的に活用しており、鋭利器材を使用せずに酸素消費の検出を高い精度で行えることについても、MGIT™ 960 ですでにその性能は実証済みです。
症状のある患者さんを迅速に正確に診断する技術は、結核のコントロールを目指した世界戦略の基盤となるものです。BDは、結核診断に対して検体採取から検査結果の報告まで総合的なソリューションを提供しています。
液体培地
検査室での結核菌の診断は、喀痰検体を直接、顕微鏡検査する方法で主に行われています。しかし、この検査法は、感度が低くバラツキがあるため、薬剤耐性株結核菌の鑑別ができません。抗酸菌培養は、それよりも感度が高いのですが、従来の固形培地での結核菌の生育には、通常、2−4週間、長ければ8週間の培養を必要とします。その結果、確定診断ができないために、適切な治療が遅れてしまいます。
液体培地は、固形培地よりも1−2週間ほど早く結果が得られ、この遅れを短縮できます。抗菌薬感受性試験の場合、従来の固形培地で28−42日かかるところ、この期間を10日間程度に短縮することもできます。液体培地は抗酸菌の検出で、より感度が高く、固形培地よりも10%ほど検出率が高まることもあります。感度が高く、培養期間を短縮できるので、液体培地は患者さんの管理の向上に大きく貢献するものと思われます。
培養能力の拡大は、HIV関連結核や薬剤耐性結核菌の蔓延という事態、特に人的・物的資源が限られた環境においては、緊急に必要とされることです。2007年に世界保健機構(WHO)は、結核の診断および患者管理に液体培地技術を標準技術として承認しています。
|