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【Medical Tribune 特別企画】インタビューVol.1
微生物検査の迅速化は臨床にどのような影響を及ぼすのか?

2016.09.15 | Medical Tribuneウェブサイトより転載

これまで微生物検査は時間がかかる検査として臨床医から認識されてきた。しかし、新世代の微生物同定および感受性機器を導入することにより、結果報告までの時間を大幅に短縮することができるようになった。そこで、微生物検査の迅速化により臨床においてどのようなメリットが得られるのかについて、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社の製品担当者(以下、日本BD)に話を伺った。

従来法と比較してTATが大幅に短縮

—従来の検査方法と比較してどのように変わったのでしょうか

日本BD 従来の微生物検査では、検体提出から結果報告まで3日以上を要していました。しかし昨今、新世代の微生物同定および感受性機器が登場し、検体提出の翌日には同定および一部耐性菌の報告が可能になり、TAT(turnaround time/報告までの時間)が大幅に短縮されました(図)。特に、血液培養検査の結果報告の迅速化は治療への影響が大きいことから臨床医からの要望が多く、これらの迅速機器の導入が加速しています。
図. 迅速化した微生物検査のタイムライン
図. 迅速化した微生物検査のタイムライン

迅速機器の導入により微生物検査室との連携が円滑化

—微生物検査室との関係に変化は起きるのでしょうか

日本BD 現在、臨床医から微生物検査室に対する問合せ、特に血液培養検査に関する問い合わせは午前中に集中しています。しかし、迅速機器を導入した微生物検査室では、早い段階で結果が判明しているため、微生物検査室に問合せることなく結果の参照が可能になります。また、リアルタイムに結果を参照できるシステムを導入している施設の場合、臨床医はいつでも途中結果を参照できるというメリットもあります。これにより、耐性菌の情報等、結果以外のさまざまな問合せにも余裕を持って対応できるようになります。

微生物検査の迅速化がもたらす今後の展望

—微生物検査の迅速化により、今後の臨床はどのように変化していくのでしょうか

日本BD 微生物検査の迅速化により、臨床医は早い段階で、抗菌薬治療におけるEBMを実現できると考えられます。またde-escalation*が一般化した現在、従来よりも早いタイミングで感受性が判明することは、広域スペクトラムを有する高額な抗菌薬の削減や、耐性菌の拡大を抑制することにも貢献すると思われます。このことは、2016年4月に閣議決定され、政府が推進しているAMRアクションプランにも繋がると考えています。

*de-escalation:最初にスペクトラムが広い抗菌薬を使用し、検査結果を受けてスペクトラムが狭い抗菌薬に変更したり不用な抗菌薬を中止することで抗菌薬の使用を段階的に縮小して適正化する治療方法