図6 安全器材使用教育の例
病院における感染対策としては、環境と医療従事者双方に対するものが考えられる。環境では、病院周囲の水たまりなど、蚊の産卵場所となりうる個所を除去することである。医療従事者に対しては、前述の針刺し対策を含め血液への曝露を防止することが重要となる。特に安全器材を適切に使用することは重要であり、当院でも新規入職職員を対象にハンズオンセミナーを開催して教育に努めている(図6)。
患者が出血を伴う場合には、医療従事者は不透過性のガウンおよび手袋を着用し、また体液や血液による目の汚染のリスクがある場合には、フェイスシールドなどで眼を保護することが重要である。また、流行地域を訪問する場合には蚊に刺されないような、肌の露出を避けることや忌避剤の使用なども必要であることを幅広く教育しなければならない
2)。
ジカウイルス感染症については、上記の感染ルート以外にも性行為を介するものや、汗や涙などの体液を介したヒト→ヒト感染の可能性も報告されており
6)、今後の知見の蓄積が重要である。
各医療機関において、B型肝炎・C型肝炎・HIVなどに対する針刺し防止策への取り組みは十分に進められているところであるが、今後2020年の東京オリンピックも控え、デングウイルス、ジカウイルス感染症をはじめとしたさらなる新興・再興感染症対策への備えも重要になるであろう。