この報告では、針刺しなどが発生した際のフォローアップにかかるコストを、1件あたり97,307円という院内データに基づいて試算していますが、感染した場合の治療費用は含まれていません。実際に、針刺し事故によってHCV陽転した場合のコストとしては、検査費、入院ベッド費、肝生検費、インターフェロン費、その他の費用を合わせると、1例で合計約310万円という報告があります。エピネットを活用して、発生している事故の実態を正確に把握することで、安全器材などを導入するコストベネフィットを事前に推定したり、導入後に評価したりすることができます。
参考文献
1) 細見由美子: EPINetTM(エピネット)【1】.
INFECTION CONTROL Vol.6 No.1, 99-106, 1997
2) 細見由美子: EPINetTM(エピネット)【2】.
INFECTION CONTROL Vol.6 No.3, 81-87, 1997
3) 木戸内清, 青木眞, 岡慎一, 木村哲: 平成11年度厚生科学研究費
補助金エイズ対策研究事業, 針刺し事故の現状と対策: 1996〜1998
(3年間)のエイズ拠点病院における針刺し・切創事故調査結果.
4) 木戸内清, 木村哲: 平成14年度厚生労働科学研究費補助金
厚生労働科学特別研究事業, 針刺し・切創の現状と対策: エイズ
拠点病院における1996年〜2000年(5年間)の針刺し・切創.
5) 洪愛子, 高野八百子, 沼口史衣, 工藤友子, 廣瀬千也子, 木戸内清,
木村哲: 平成14年度厚生労働科学研究費補助金
厚生労働科学特別研究事業医療従事者における針刺し・切創
の実態とその対策に関する調査.
6) 浦野美恵子、矢野邦夫、他: 県西部浜松医療センター医療従事者に
おける針刺し切創事故に関するサーベイランスとコスト試算,
環境感染Vol.12 no.2,1997.
7) 島崎豊: 針刺し事故とコスト, INFECTION CONTROL’99V.
2000年11月6日クリントン大統領(当時)による針刺し安全予防法署名式
(右肩がジェーガー先生)Photo Credit: David Scull, White House Photo