Diekema, D. J., et al. 2003. Epidemiology and outcome of nosocomial and community-onset bloodstream infection. J. Clin. Microbiol. 41:655-3660
次は統計手法を用いた費用効果分析です。Diekemaらは、血流感染について、入院期間、中心静脈カテーテル使用の有無など、いくつかの変数にが入院費用にどのように影響するかを検討しました(表1)。
さらに、多重ロジスティク回帰分析を用いて、血流感染から死亡に至った事例について、院内感染、低血圧、中心静脈カテーテルなどの変数を分析し、以下のオッズ比を得ました(表2)。オッズ比とは、簡単に言えば、ある条件(因子)に当てはまる人が、その条件に当てはまらない人に比べて何倍ある結果(疾患など)を来たす可能性が高いかを示す指標です。つまり、オッズ比が高いほど、その条件と結果との因果関係が強いといえます。
以上の費用効果分析より、Diekemaらは、院内感染による血流感染は入院費用及び死亡率を高める要因であると結論づけています。
今回は、費用効果分析と統計手法をもとに院内感染対策の意義を検討しました。日本版DRG/PPSの導入に向けて、医療の効率化は避けては通れない課題であり、その中で院内感染対策は医療費削減のための必要投資として考慮されるべき分野と言えるでしょう。